ドラフト会議が笑えない
バルサの経営がヤバいらしい。僕には企業経営についての知識なんてないし、もちろんクラブ運営についてもほとんど知らない。だが、そんな極東に住むど素人にも何となく危険な状態だということはわかる。そもそも #FCバルセロナドラフト会議 なんてものが流布している時点で何かがおかしい。何もないのにこんなものがトレンド入りするはずがないのだ。
Barcelona are on the verge of total bankruptcy. The club are €1,173M in debt in total; a sum of €730M of the debt is owed short term and €266M is owed to banks by June 30th which must be paid, €90M of which is owed directly to Goldman Sachs. [el mundo via @footballespana_] pic.twitter.com/tcdbYXBHCa
— barcacentre (@barcacentre) 2021年1月25日
Barcelona still owe €40M for the signing of Coutinho, and €48M for the signing of De Jong.
— Barça Universal (@BarcaUniversal) 2021年1月25日
— @Alfremartinezz pic.twitter.com/pYuXwZv0xI
Barcelona has not yet finished paying for the signings of Malcom, Trincao, Firpo, Arthur, Denis Suárez, Neto, Matheus Fernándes, Emerson, and Arturo Vidal, among other players. Barça owes around 70 million euros to different clubs for those signings.
— Barça Universal (@BarcaUniversal) 2021年1月26日
— Onda Cero pic.twitter.com/FKKjh5Hikt
これらのツイートが意味するところは
- バルサは11億7300万ユーロもの債務を抱えており、破産の危機に瀕している
- そのうち7億3000万ユーロは短期債務であり、2億6600万ユーロを6/30までに支払う必要がある
- その中にはコウチーニョ獲得での4000万ユーロ、デヨング獲得での4800万ユーロの負債が含まれている
- 現在クラブに所属するネト、ジュニオル、トリンカオ、マテウスだけでなく既にクラブを去ったデニススアレス、マウコム、アルトゥール、ビダルやベティスと共同保有の形をとっているエメルソンらを獲得した際の支払いを終えておらず、約7000万ユーロの負債がある
ということらしい。どう考えても健全な経営状況ではない、というか一文目にいきなり破産の危機という文字がある時点でおかしい。前に獲得した選手の移籍金を払い切っていないのに新しく選手を連れてくるのは明らかにやりすぎである。
新型コロナウイルスによる危機がなければこんなことにはならなかった、という主張もあるかもしれない。例えばあの眼鏡をかけた長身の男。あえて誰とは言わないが、彼ならそんなことを言うだろう。そうに決まっている。むしろ選手たちの給料を削減したことを誇るかもしれない。
だがちょっと待ってほしい。確かに無観客試合その他諸々による減収はある。確実にどのクラブもダメージを受けている。だがしかし、この状況は1年足らずで出来上がるようなかわいらしいものではない。白いライバルチームのお株を奪うかのような数々の大型補強を経て、このクラブには一体何が残ったのだろう。
と、このまま前会長への恨みつらみを書き散らしていってもいいのだけれど、それではあまりに不毛で生産性がない。だいいち、自らあの顔を思い浮かべながら時間を過ごすようなこと自体が間違っている。ということで、ここからは選手を売却していくことでどれくらいの現金が得られるのかを考えていくことにする。あくまで仮定の話であり、誰も欠けることなくシーズンを終えられればそれが一番という前提の下で進めていくのであしからず。
現在の市場価値、移籍金、契約年数、年齢の順。カンテラーノは移籍金なし。データは全てTransfer Marketから。
GK
1.Marc-Andre ter Stegen
€75.00M(€12.00m)-2025 age:28
替えの効かない守護神にしてビルドアップの要。絶対売っちゃダメ
13.Neto
€10.00M(€26.00m)-2023 age:31
放出候補。というかスタンドに座らせておくのは勿体ない。新天地を見つけてほしい
CB
3.Gerard Pique
€12.00M-2024 age:33
残留してほしい。彼のリーダーシップに助けられる場面は必ず来るはずなので
4.Ronald Araujo
€20.00M-2023 age:21
今後10年以上DFラインを率いて貰わなければならない。絶対売っちゃダメ
15.Clement Lenglet
€40.00M(€35.90m)-2026 age:25
最近は粗が目立つものの退団の優先順位は低い。破格のオファーが来たら考えてもいいと思うけど
23.Samuel Umtiti
€10.00M(€25.00m)-2023 age:26
放出候補その②。この稼働率で主力を任せるのは厳しい。まだ20代半ばなので新天地で再出発を目指してほしい
28.Oscar Mingueza
€5.00M-2021 age:21
SBもできる守備のユーティリティーとしてどこまで行けるか。カンテラ出身で闘争心もある。チームに1人いると助かる選手
SB
2.Sergino Dest
€25.00M(21.00m)-2025 age:20
最近は疲れてるものの、1年目にしてはかなりやれている部類のはず。引き続きアウヴェスへの道を歩んでくれ
18.Jordi Alba
€25.00M-2024 age:31
批判されることも多いが、この人がいないと攻撃が回らないことも多々ある。代替候補もおらず、放出は避けたい
20.Sergi Roberto
€25.00M-2022 age:28
SBと中盤をこなせるユーティリティー性は大きな武器。後輩たちの良きお手本としても頑張ってほしい
24.Junior Firpo
€10.00M(18.00m)-2024 age:24
放出候補その③。いいものを持っていることは分かるんだけど、いかんせんアルバと比べられるときつい。新天地で自信を取り戻せば飛躍できるかも
CMF
5.SergioBusquets
€10.00M-2023 age:32
困ったときにそばにいる、それがブスケツ。システム変更を重ね迷走した結果、結局は彼をアンカーとした433に落ち着いたことからも重要さが分かる
8.Miralem Pjanic
€40.00M(60.00m)-2024 age:30
1アンカーを採用してから出番は数えるほど。ブスケツのいないチームに行けばまた、心臓として手足となる選手たちを操れるはず
12.Riqui Puig
€18.00M-2023 age:21
バルセロナ一筋のカンテラの星。リーガ初得点を決めたのは喜ばしいが、今後数試合の扱いによってはレンタルを検討すべきかもしれない。完全移籍はNG
16.Pedri
€50.00M(8.00m)-2022 age:18
バルセロナだけでなく、リーガ全体で見ても大きなサプライズとなったクーマンの愛弟子。絶対売っちゃダメ
19.Matheus Fernandes
€2.00M(7.00m)-2025 age:22
リーガの日程を半分消費してもイマイチよくわからない人。新天地で頑張ってほしい
21.Frenkie de Jong
€65.00M(86.00m)-2026 age:23
今季は得点にも絡み始めた将来のチームの要。ほんと何でもできるな君。当然売っちゃダメ
AMF
7.Antoine Griezmann
€60.00M(120.00m)-2024 age:29
輝きだしたことは素晴らしい。ただし、年俸と移籍金を考えるともうちょっとシュートが入ってもいいと思うんだ
10.Lionel Messi
€80.00M-2021 age:33
放出の是非を問うのも馬鹿らしい。これ以上チームの犠牲にならなくていい人なのは確かだけど、最後に見るのが空っぽのカンプノウなんてことになれば悲しいよなぁ
14.Philippe Coutinho
€50.00M(€145.00m)-2023 age:28
悲しいけれど、バルセロナに君の居場所はない。スペインで苦しむ顔ではなく、新天地でチームの中心として輝く笑顔が見たい
FW
9.Martin Braithwaite
€9.00M(18.00m)-2024 age:29
実は現スカッドで彼にしかできないことが結構ある。年俸も安く、3トップのどこにでも配置でき、おまけに出場が少なくても真摯に練習に取り組んでくれる。スカッドにいて損はない
11.Ousmane Dembele
€50.00M(130.00m)-2022 age:23
特大のポテンシャルを発揮する時を待ち続けた甲斐があったのか、それともくたびれ儲けで終わるのかの瀬戸際に来ている。ここからフェードアウトしていくなら、体に合うリーグに移ったほうが本人のため
17.Trincao
€25M(31.00m)-2025 age:21
まだ若いのも分かる。初年度の難しさも分かる。成長していってくれるならそれでいい。ただし、大事な試合で得点したマウコムが一瞬で切り捨てられたことは覚えておいてほしい
22.Ansu Fati
€80.00M-2022 age:18
言わずと知れたバルサの希望。売っていいなんて考える者がいたらまずそいつをフロントから排除するべき
バケツの穴は埋まるのか
とりあえずメッシが残る前提で考えることにする。ちなみに全選手を市場価格そのままで売ると約8億ユーロになり、負債は全額返済できない。
今のところ出場機会が少ない選手たちを軒並み売却すると1億2200万ユーロになる。実際は足元を見られそうなのでもっと少なくなる可能性は高いけれど。ブライスワイトとトリンカオを追加すると3500万、デンベレだと5000万、グリーズマンだと6000万ユーロが更に得られることになる。
これらのことを考えると、選手の売却によって少なくとも6/30までに支払うべき費用は捻出できそうである。冬の移籍で誰かを放出したり、ここから更に年俸のカットを選手たちが了承した場合はそこの予算も浮くことになる。そうすれば更に多くの負債を返済できるというわけだ。
もっと簡単な方法もある。それはズバリ、カンテラーノを売却して利益を上げること。そう、例のあいつが得意としていた手法である。もっとも、その結果がこれなわけなのでお勧めはしない。未来を切り売りしていった先に、クラブの将来が開けるわけがないのである。