はらをのサッカーブログ

FCバルセロナを中心にサッカー関係の駄文を投稿していきます。

センターバックは2人でいい

こんにちは。ブンデスリーガが再開するということでテンションが上がっているはらをです。TVでスカパーが映らないということで凹んでいたのですが、無事にオンデマンドでルールダービーを視聴することができました。目当てのトディボは負傷交代、ミランダは後半途中から出場もインパクトなしと寂しい結果で終わってしまったのは切ないですが…試合内容についても4-0でドルトムントというスコアが相応というようなゲームでしたね。相手の布陣のギャップを突いて起点を作る重要さがよく分かる展開でした。

 

対して陽性者が出たりしててんやわんやのラ・リーガはまだ再開はできそうにないですね。ということで未だに待機状態のバルセロナですが、先日セティエンがシーズン再開後に3バックシステムをメインに据えるという報道がありました。

バルサ監督 再開後は3-1-4-2の布陣をベースに | リーガエスパニョーラを現地から!スペインサッカー専門サイトSPORT.es/スポルト

ということで今回は、3バックの是非について僕なりに考えていこうと思います。というかタイトルで分かるように僕は反対派なんですがね。

 

セティエンの3-1-4-2

まずは3バックといってもいろいろあるよね、という話なんですが、彼が採用するとしたらまず間違いなく3-1-4-2システムであろうと思われます。前任のベティスでもこのシステムで戦っていましたし、バルサに来たのちの数試合もこの配置で試合に挑んでいました。

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初戦はセルジロベルトを右のストッパーに抜擢する一方で、インサイドハーフにはビダルラキティッチが配置されるなど予想外のメンバーに驚いた人も多いのではないでしょうか。右のウイングバックにアンスが起用されたのもサプライズでしたね。

 

本来ならそこにデンベレを置きたかったのでしょうが、彼は残念ながら怪我また怪我でバルベルデ解任後一度も出場がありません。セティエンが彼を高く評価しているらしいのはペレス放出の経緯からも明らかですが、現状ではお荷物となっております。

 

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初戦グラナダ戦のスタメンはこんな感じ

 

3バックのメリット

システム変更の是非を問う前に、そもそも3バックシステムの利点とは何なのかを見ていきましょう。実際に使われる(はずの)3-1-4-2を念頭において考えることにします。

 

守備の堅牢さ

 まずはこれですね。CBを3人置くことになるので、単純に守備に長けた選手がピッチ上に多くなります。その前にアンカーの選手を置けばカウンター対策はばっちりです。

 

配置の安定感

4バックの時は配置を変えて攻撃に移るチームが多いですが、3バックの場合はボール保持、非保持にかかわらず基本的に配置を変更せずに振舞うことができます。WBの選手のポジションや人選を調節することで守備的にも攻撃的にも自在に変化できます。

 

役割の明確化

ポジショニングが安定する関係上、ポジション移動のことをそこまで考えずに選手を選ぶことができます。IHの選手がサイドでもプレーしなくてはならない、なんてことは基本的にないわけです。

 

 

これらの利点をまとめて考えると、このシステムは非常に安定して戦うことができると言えるでしょう。ここでグラナダ戦のスタメンを再度確認してみます。

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まずCBが3人いません。セルジロベルトはSBにいるときも守備が不安視されることがあり、これで守備力強化というのは無理がありそうです。

 

また、アンスが右のWBにいます。彼の良さが発揮されるのは明らかに左サイドにいるときであり、この位置では彼本来の強みは発揮しにくいでしょう。またアンスはまだ若いプレイヤーであり、クラブの未来を背負う1人になるであろう選手です。合わないポジションで変な癖がついて欲しくないというのが正直なところです。

 

逆にメッシが2トップの一角にいることで、全体としてポジション移動の負担を背負いにくくなっています。バルベルデから引き継いですぐということもあってIHはこの2人なのでしょうが、ここがフレンキーやアルトゥールでも十分機能するでしょう。セルジロベルトの守備負担を減らすための人選という推測もできますが。

 

根本的な疑問

このように、このメンバーで3バックシステムを採用するメリットはそこまで見当たりません。とすると、そもそもシステムを変更する意味はあるのか?という疑問が湧いてきます。セティエンの十八番ということでこうなっていますが、例えばシャビが後任で来たとしてそのまま続ける気はしないです。

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今シーズンにセティエンが来たのも、後任も決まらないうちにバルベルデを解任したあげくシャビに監督就任を断られたからですし、もしうまく行っても契約延長する可能性は低いと思われます。会長選の公約にペップ招聘!みたいなのがあるぐらいですから。そしてセティエンが長く続けることができないなら、残りの1シーズン半のために新しいシステムを構築するのは無駄骨に終わってしまうのではないかという懸念があります。

 

また3バックのデメリットとして、配置が安定しているが故に動きが止まりやすいという問題があると言われています。ただでさえメッシがボールを持った時の動きが少ないという現状で、ブロックの外でボールを回すのに終始しないという保証はどこにもありません。

 

選手層とのミスマッチ

 

足りないCB

現在、バルセロナのトップチームにいるCBはピケ、ラングレ、ウンティティの3人です。そしてBチームの中でトップで試合に出たことがあり、計算できそうなのはアラウホただ1人です。冒頭に書いたようにトディボがシャルケにレンタル中ですが、何故かマーケットに出たままで様々なクラブから問い合わせが来ている状態です。もしフロント陣が一切シャルケでのプレーを見ていなくても、これだけ熱視線を送られていれば重要な選手だと分かりそうなものですが…。

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首尾よくトディボをレンタルバックできたとしても(するべき)、今シーズンの残りは上記の4選手でやりくりしていくしかありません。ですがここにも問題があります。トップチームの3人のうち対人スキルの高い選手、いわゆるストッパータイプのCBはウンティティだけなのです。ラングレ、ウンティティがレフティのため、この3人を並べると自動的にピケが右サイドに置かれることになります。ピケは決して対人を得意とする訳ではなく、身体能力も高くありません。逆にクロス対応が1番上手いのは彼なので、釣り出されるとデメリットしかないわけです。

 

懸念点はもう一つあります。それはトップのCBが揃うタイミングが少ないという点です。ウンティティはW杯明けからコンディションが戻らず、細かい負傷を繰り返しています。再開後すぐの練習でも負傷して離脱しており、現状ではデンベレと同様に計算できない選手になっています。

 

反対にラングレは怪我こそありませんが不用意にイエローカードを貰うことが多く、累積で出場停止になる試合が出てきています。ピンチ阻止のためにユニを掴んで倒した、とかではなく不用意に突っ込んでパスアウトした選手を削ったりしてカードを貰っているのも気にならところです。もうちょっとなんとかならんのか。現に今も負債がたまっており、リーガが開幕しても出場できません。ウンティティの怪我が治らないといきなりピケ、アラウホでコンビを組むしかなくなるという事態になっています。

 

多すぎるFW

逆に攻撃的な選手は溢れかえっているのがバルセロナです。それでも怪我が重なって火の車になったりするのが切ないところですが。3-1-4-2を使うとすれば、FWの選手がプレーできるポジションは2トップ、WBの2つ(4枠)です。

 

そもそもWBができそうなのがデンベレとアンスしかいないのでその2人を除いてみると、2トップの枠を争うのは

の4人となります。スタメンはグリーズマンで後半途中からスアレス、みたいな起用ができればいいのですがスアレスがそれを認めるとは思えませんし、認めたとしても上の3人のうち1人は確実にベンチ、というのも費用対効果の観点から見れば大損になってしまいます。ブライスワイトもジョーカーっぽく使えばかなり効果的だと思うのですがこの3人に割って入るのは難しいでしょう。

 

カンテラーノの適応

バルサのアカデミーがメッシを始めとした数々の名選手を輩出しているのはご存知の通りです。現在もリキプッチ、アンスファティなど有望な選手が数多く在籍しています。

 

そんな彼らは下のカテゴリーから一貫して4-3-3で試合をしています。カンテラーノはバルセロナのトップチームで成功するべく指導を受け続けてきた選手たちです。そのトップチームが一貫して4-3-3を採用しているのですからカンテラが合わせるのは当然といえば当然ですし、実際にその戦い方に合った選手たちが集められています。

 

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ところが3バックを採用した場合、カンテラーノたちは全く新しい動きを学ばなければいけません。バルセロナは特殊なクラブであり、外から来た選手はどんな名手でも馴染みきれずにチームを去ることは少なくありません。そうなることのないように育てられた筈が不慣れなポジションをこなさなければならないのなら、わざわざ下部組織から引き上げる意義が薄くなってしまいます。それでは本末転倒ですし、1シーズン半くらいしかやらないのならわざわざ仕込んでも出場機会は数えるほど、みたいな悲劇が起こってしまうことも考えられます。

 

まとめ

いろいろと僕の思う問題点を挙げましたがいかがだったでしょうか?もちろん来シーズンの加入選手、放出選手によっては状況が変わるかもしれませんが、いきなり即戦力のCBを取ったりはしなさそうなのでそこまで状況は変わらないのかな、と思っています。

 

余談になりますが、3バックをメインにCL制覇を成し遂げたチームって最近なかったと思うんですよね。W杯で勝ち上がったのもベルギーとイングランドぐらいだったように記憶しています。もし他に思いついたら教えてください笑。

 

 

 

 

この記事は以上で終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました。