はらをのサッカーブログ

FCバルセロナを中心にサッカー関係の駄文を投稿していきます。

バルサにコウチーニョの未来はあるか

こんにちは。最近チームの調子が悪く、沈んだ空気が漂っていたバルセロナ。ですが、そんな中メッシがFIFA最優秀プレーヤーに選出され、少しポジティブな空気が戻ってきたように感じます。ビジャレアル戦も勝利できたので、ここで弾みをつけたい所です。

 

そして、もう一つ僕にとって良いニュースが。そう、コウチーニョブンデスリーガで初得点を記録したのです。

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記念すべき初得点は自ら得たPKを決めるというものでした。ポスト直撃の惜しいフリーキックも放ち、アシストも記録するなど早速チームに馴染めているようです。バルサに加入した当初も活躍していたので油断は禁物ですが。今のところ、コウチーニョにとってバイエルンバルサにいた頃よりも居心地がいいようで、こちらとしては安心半分、寂しさ半分といった心境になってしまいます。笑

 

ですが、現在コウチーニョには144億円と非常に高額な買い取りオプションが付いており、バイエルンでの出来次第では帰還も十分にあり得る状況です。サポーターにも歓迎されており、ロッベンの10番を受け継いだ彼を1年で送り返す決断をあちらのフロントが下すのかは分かりません。しかしハメスを送り返したという実績もあるため、個人的には替えの効かない存在にならないと厳しいのかな、と思っています。

 

そんなコウチーニョバルサに帰ってきた時、果たしてチームにまだ彼の居場所はあるのでしょうか?

 

プレースタイル

コウチーニョは、主にトップ下でのプレーを得意としています。なぜトップ下なのか。それは、彼が相手のMFラインとDFラインの間でのプレーを好むからです。彼が活躍した試合ではこの位置でボールを受けて前を向き、そこから一気に攻撃のテンポを上げる場面がよく見られました。彼は素晴らしいミドルシュートを持っているため、DFにパスとシュートどちらを消すかという2択を迫ることができます。特に相手のDFが後退せざるを得ない場面では得点に直結するプレーを幾度となく見せており、カウンターの起点となりながらゴールに絡むという点では世界でも有数のプレイヤーだと思います。ですが、バルセロナでは思うようなプレーが出来ず苦しむことになってしまいました。


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バルサ在籍時のポジション

バルセロナに所属している時、コウチーニョは主に左WGでプレーしていました。より中央に近い左のIHでの起用もありましたが、守備強度の点で諦めざるを得なかったようです。しかし、サイドに配置されたものの、コウチーニョはスピードに乗った個人技で相手を抜き去るタイプではありません。そのため、周囲とのコンビネーションで崩す形を狙うことが多くなります。さらに、バルセロナの左サイドにはすでにジョルディ・アルバという絶対的な存在がいます。彼の飛び出しはバルサに欠かせない武器となっており、メッシとの連携はもはや以心伝心の域。彼が駆け上がるスペースを確保するのは、左WGにとって義務といっていいでしょう。

これらの2つの理由で、コウチーニョは中に絞ってプレーすることが多くなりました。それ自体は得意なプレーであり問題ないのですが、絞った先にはバルセロナの王、メッシの聖域があります。メッシの邪魔をすることはあってはならないことです。ドリブルの道を開けるのは当然ですし、アルバへのパスコースも遮る訳には行きません。圧縮された中央のスペースの中、コウチーニョは2人に気を使った窮屈なプレーをする場面が増えていきました。


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相手チームの守備

バルセロナを相手にするチームは基本的に、自陣に撤退しブロックを組んで守ってきます。当然ながらスペースは少なく、1枚剥がしたぐらいではすぐに次の選手がカバーにやってきます。こういった状況では、正直なところコウチーニョの良さが生きにくいです。代名詞とも言えるカットインシュートも相手選手に当てる場面が増えてしまいました。中盤まで下がっていっても良いのですが、バルサではボールを押し上げるのはIHの役割であり、またそういったプレーを得意とする選手もいます。更にメッシも降りてきてボールを受ける場面があるため、あまり下がりすぎるのは得策とは言えません。そのためコウチーニョは裏に走り込むプレーが増え、クロスやこぼれ球に飛び込む場面が多くなりました。しかし、元々身体能力に優位性を持つ選手ではありません。ワンタッチのシュートもそこまで上手くなく、決定機逸を繰り返すなど本職の選手には一歩劣ってしまうことが目立ちました。

 

ブラジル代表の場合

クラブではうまく輝けなかったコウチーニョですが、一転して代表チームでは素晴らしい動きを見せていました。それが逆にクレからの反発を強めることもあったのですが…

ブラジル代表では彼の定位置は左IHです。左WGにはネイマールという大エースがいますし、パウリーニョ、カゼミーロといった守備に特徴を持つ選手と中盤を構成できることから守備の不安を消し去れることが主な理由です。ここから周囲の選手と絡み、上がってくるマルセロを使い、時にネイマールを囮にしてシュートを放つ。シンプルなようで難しい動きを難なくこなし、カナリア軍団の攻撃を牽引します。ネイマール不在のコパ・アメリカではトップ下を任されることもありましたね。この時はカゼミーロ、アルトゥールのダブルボランチでした。

チッチ監督のブラジル代表がカウンター気味の攻撃を志向することも、コウチーニョにとって追い風となりました。彼のセレソンはこれまでの華やかな個人技で押すチームとは違い、しっかりとしたディフェンスからシンプルに攻撃します。このことが、中盤のスペースを必要とするプレースタイルとがっちり噛み合ったのです。実際に、ロシアW杯ではネイマールと並びチームトップの2得点を挙げ、コパアメリカでもチーム2位タイの2得点を記録しています。

 

帰還への展望

以上のことから考えると、現在のバルセロナでは彼の活躍の場はかなり少ないように感じます。理由はいくつかありますが、まずは単純に前線、中盤の枚数が多すぎることです。メッシ、スアレスが出場する時は、左WGの残り一枠をグリーズマンデンベレ、アンスと争わなければいけません。メッシの0トップを採用すればスアレスの枠は空きますが、そうなればグリーズマンが右WGに回り、残る2人と競うことになるでしょう。彼らは若く将来性があり、またスピードやドリブル突破を武器にする選手なので、旗色が悪いのは否めません。メッシ、グリーズマンコウチーニョのトリデンテが仮に完成したとすると、みんな中盤に降りてきて大渋滞しそうですですしね。中盤に置くとしても、左IHは現在バルサの攻撃を支えるアルトゥールの定位置です。それ以前に今でさえ飽和しているポジションなので、これ以上増やすのはデメリットにしかならないでしょう。

さらに、現在のバルサのサッカーに彼に合うポジションがほとんど見つからないという問題があります。スアレス不在時のバルサは両WGが高い位置で大きく開き、幅を取る役割を担っています。そこからの果敢な仕掛けや裏抜けなどで決定機を創るのが主な仕事です。しかし、前述した通りコウチーニョはサイドで違いを作るタイプではありません。適正の面でも将来を考えても、デンベレやアンスといった若い選手に任せたほうがよいでしょう。デンベレがずっと居るかは分かりませんが。中盤は昨季より前に出る機会が増えたので行けそうな気もしますが、メッシの分の守備を10人で行うことを考えると、明確な穴になりそうなので難しいのではないでしょうか。アルバやフィリポの上がりでスペースができ、コウチーニョも戻らないとなると、ラングレやブスケツが過労死することは容易に想像できます。

もちろん、これらの予想をすべて覆して活躍してくれれば言うことはありません。僕はそうなることを望んでいますし、またカンプノウでスーパーシュートを突き刺す所を見たいとも思っています。次のシーズンからは監督が変わるので、現状の戦術から変わる可能性もありますしね。ただ、冷静に考えてみると、現実的には彼が再度バルサで活躍することは難しいのではないでしょうか…

 

終わりに

色々と書いてきましたが、ネガティブな内容が多くなってしまいました。しかし、もう一度声を大にして言いたいのは、コウチーニョは素晴らしい選手だということです。たまたまバルサではスタイルに適応できず四苦八苦しましたが、それは彼の能力が劣っていることを示すわけではありません。依然として彼は最高峰のクオリティを持った選手の一人です。彼の先行きがどうなるかは分かりませんが、その場所でまた輝きを放ってくれることを期待しています。もちろん今シーズンバイエルンで活躍した上でですが。ただ、チャンピオンズリーグバルサと当たったとしたら…きっと彼はどうすればいいか分かっていることでしょう。まずはそこまで辿り着かなければ絵に描いた餅ですがね。笑

 

 

以上でこの記事は終わりです。長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。