はらをのサッカーブログ

FCバルセロナを中心にサッカー関係の駄文を投稿していきます。

最高の黒子、イヴァン ラキティッチ

こんにちは。不安の多かったヘタフェ戦ですが、見事2-0で勝利を収めたバルセロナ。ようやくアウェイ初勝利を手に入れましたね。僕は大阪ダービーに負け、沈んでいた気持ちを持ち直すことができて満足しています。デンベレがまた離脱したのは気にかかるところですが。

 

そして気にかかることがもう一つ。そう、ラキティッチのパフォーマンスが思わしくないのです。そもそも出場機会が激減しており、ほとんどの試合に出ていた昨シーズンが嘘のようです。ローテーション以外でベンチ外になるとは思ってもみませんでした。

 

放出候補の一番手として幾度となく名前が挙がり、#RakiticOutというタグまで作られても、バルサへの愛を失わなかったラキティッチですが、このままでは流石に移籍せざるを得ない状況です。どうして、レギュラー筆頭だったラキティッチはベンチ外に至るまで優先順位が下がってしまったのか。今回は、そこについて考えて行こうと思います。


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ラキティッチのこれまで

ラキティッチは、2014年にセビージャから移籍してきました。セビージャでは主にトップ下で先発しており、移籍する前のシーズンである13-14シーズンはキャプテンも務めていました。34試合で12ゴールと中々の成績を引っさげてカンプノウに到着したラキティッチですが、攻撃の中心だったそれまでとは違い、バルセロナではより献身的な脇役に徹するプレーが求められました。

しかし、ラキティッチはそのタスクを完璧にこなします。以降は絶対的なレギュラーとして定着。出場しない試合はほとんどなく、ブラック労働者と呼ばれるに至りました。

ところが、リバプールに歴史的な逆転を許し、国王杯も敗退した18-19シーズンにファンからの評価はどん底に。移籍市場でもネイマールとのトレード要員として交渉材料に使われ、土壇場でのユヴェントス移籍も浮上。結局バルサに残ることを決断したものの、ベンチスタートが当たり前になり、ホームのビジャレアル戦ではアルバ、ウンティティと共にスタンドからチームを見守ることに。現在、彼の頭上には暗雲が立ち込めています。

 

プレーの特徴

ラキティッチは、本来は攻撃的に振る舞える選手です。特に視野の広さとそこから生まれるロングフィードは素晴らしいものがあります。ドリブルでの推進力もあり、スペースが空いていればすかさず前進して最適な位置に移動できます。ラキティッチ砲と呼ばれる弾丸シュートも魅力的ですね。脱力したフォームから放たれる押さえの効いたシュートがゴールに突き刺さるのは観ていて気持ちがいいです。

現在はシンプルなプレーが多いですね。相手からボールを奪い、すぐに前線に着ける力があり、何度も攻撃の起点を作り出せています。行けると判断したときにはワンツーでゴール前に飛び出していくこともあり、実際にクラシコでこの形から決勝点をもぎ取っています。
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守備をするときにはしっかりとプレスバックし、空いたスペースを埋める献身性も彼の武器の1つです。これは必要に迫られて身につけたものかも知れませんが、バルサの守備を支える重要な役割を果たしていました。ミドルシュートを打とうとする相手には猛然と詰め寄り、スライディングで対応するシーンも見られましたし、サイドバックか釣り出されたときにはカバーに回ることもありました。さらに高身長を活かしてセットプレー時には競り合いに参加。まさになんでも屋として、陰ながらチームを支えてきました。リバプール戦1stレグでは、83分にミルナーのシュートをゴールに飛び込んでクリアする素晴らしいプレーもありましたね。



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起用法の変遷

ラキティッチが加入したのはエンリケバルサの1年目です。エンリケといえばMSN。この3トップを最大限に活かすため、チームはカウンターでの攻撃が増加しました。15本のパスなんて関係ありません。ボールを奪ったら、まず前線に待つ3人に渡すことが求められました。シンプルに前線につけるパスは彼の十八番ですし、攻め残る前線とDFラインとの間のスペースを埋める走力も見せ、1年目から完全に主力として定着しました。エンリケ3年目の前半は何故か干されたものの、結局後半からはまたスタメンに返り咲いています。


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バルベルデ体制に変わっても、ラキティッチの地位は揺るぎないものでした。1年目のバルベルデは中盤ダイヤモンドの4-4-2からメッシ、スアレスの2人によるカウンターアタックを狙いましたが、結果を手にしたものの哲学から離れすぎた戦術は多くの批判を浴びることとなりました。翌年からは4-3-3の形に戻しましたが、守備時の形は変えませんでした。変えられなかった、といったほうが正しいのかもしれませんが。そして3年目となった今シーズン、唐突にラキティッチの姿はスターティングイレブンから消え去ってしまいました。現在はアルトゥール、フレンキーの若手2人がレギュラー格として扱われています。初のMSG揃い踏みとなったビジャレアル戦では、ロベルトがフレンキーに変わり出場していましたね。
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出場機会減少のわけ

ラキティッチ加入から去年までと現在のバルセロナには、大きな変更点があります。それはずばり、主役となるポジションの変化です。FWに渡してカウンターから、本来の中盤でパスをつなぐサッカーへの回帰。そのため、IHにはより前に出て攻撃を創る役割が求められるようになります。ラキティッチは狭いスペースで囲まれながらボールをキープするのは得意ではありません。そのため、これまでとは違うタスクに適応するのか難しい、という点が挙げられるでしょう。ビダルもその点においては同じかもしれませんが、彼はチーム随一のファイターです。タフな試合において絶大な存在感を発揮し、守備固めだけでなく前線に駆け上がってのヘディングシュートも狙えます。ビダルはまたラキティッチとタイプが違う選手であり、その能力はシーズンの中で必ず必要になってくることでしょう。要は変えがきかない選手だということです。


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確かに、ラキティッチも変えがきかない選手の1人でした。しかし、フレンキーデヨングの登場によってその役割は彼だけのものではなくなったのです。アヤックスから来たこの逸材は機動力とテクニックを合わせ持ち、ドリブルやターンにも秀でています。ミドルシュートこそ打たないもののラキティッチの出来る大抵のことはやってのけ、特にビルドアップの面で彼はラキティッチより優れています。

役割の変化と強力なライバルの出現。この2つが、ラキティッチが試合に出られなくなった理由なのではないでしょうか。

 

これからの展望

今のバルセロナは、中盤の選手が3つの枠に対して6人いるという飽和状態に陥っています。それに加えてBチームにリキプッチが控えるという贅沢っぷりです。このカンテラの至宝の流出を食い止める為にも、放出される選手がいるのは必然でしょう。そしてそのリストの中にラキティッチがいることも、残念ながら予想できます。彼はベンチを温めるにはもったいない選手ですし、欲しがるクラブはたくさん居る筈です。パリやユヴェントスがそうであったように。これからベンチに置かれ続けることを考えると、移籍するタイミングを逃したと考えることもできるくらいです。



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あれほどバルセロナを愛し、貢献してくれた選手がそのような形で去るのはとても悲しいことです。しかし、現フロントに気遣いを期待できるかと聞かれれば、首を傾げざるを得ません。これもまた悲しいことですね…この笑顔が少しでも長く見られることを祈ります。



 

この記事は以上で終わりです。最後までお読みいただきありがとうございます。