はらをのサッカーブログ

FCバルセロナを中心にサッカー関係の駄文を投稿していきます。

この星は落としてはいけない

背番号10は、どのサッカーチームにおいても特別な番号だと言えるでしょう。なにしろエースナンバーであり、チームの顔となる選手が付けることがほとんどです。日本代表においても、「背番号10としての責任」などと語られていましたね。香川真司は10番を背負う重圧に苦しんでいるのではないか、みたいな話もありました。

 

その一方で、ある選手が背負ったが故に伝説となった背番号というものも存在します。有名なのはイングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドのにおける背番号7です。グリーズマンベッカムに憧れて7番を付けているらしいですね。

 

そして我らがFCバルセロナにおいて重要な背番号とは?もちろん色々な意見があるでしょう。バルサには数々の名選手が在籍していましたから、背番号は全て伝統と格式のあるものと言うこともできます。しかし現在においてひとつ選ぶとすれば、それは1つしかないでしょう。そう、10番です。

 

現在10番を背負うのはご存知リオネル・メッシ。世界最高の選手として名高い彼の存在はもはや、いちサッカー選手という枠には収まりきらないものとなっています。

 

10番というのはもともと注目される番号ではありますが、バルセロナにおいてはその重みはとんでもないことになっているのです。果たしてこれを受け継ぐのは誰になるのだろう、というのは近年ずっと囁かれているトピックでした。

 

突如現れた新星

彼が登場したのはそんな時でした。19-20シーズン、バルベルデ監督の3年目。いつものようにデンベレが怪我をし、年齢を重ねてきたスアレスが怪我をし、珍しくメッシが怪我をし、と前線が野戦病院と化した中、なんとバルサBを飛び越してトップチームに昇格してきました。

 

不勉強なもので僕は彼を全く知らなかったのですが、デビュー以降その名前は強烈に脳に刻みつけられることに。そして、その体験をしたのは決して僕だけではないはずです。Anssumane Fati という名前は瞬く間に全世界に知れ渡ることとなりました。ゴールデンボーイでも2位にランクインしましたしね。彼ならば、メッシの背番号10を受け継ぐに足る選手となれるのではないか。そう思えるほどの逸材は、今シーズンも主力として活躍しています。ここまでにバルサが消化したリーガ7試合、CL3試合の計10試合すべてに出場し、プレータイムは900分のうち596分に及んでいます。バルベルデは常に左サイドで起用していましたが、クーマンが就任してからはCFとしての出場機会も多いです。そんな遍歴もメッシと似通っているかもしれませんね。

 

異質な存在として

アンスの選手としての特徴は、現在のバルセロナの中では特異なものといえます。まずはなんといってもオフザボールの秀逸さです。初ゴールはクロスを頭で合わせたものですし、メッシやコウチーニョの出したスルーパスに抜け出すシーンもよく見られました。この辺りはペップバルサウインガーダビド・ビジャに通じるものがあるように思えます。現在のバルセロナには2列目の選手が多いため、ストライカーとしてDFラインを引っ張ることもできる彼の存在は貴重です。

 

そして、ボールを受けた後のシュートも見事なものです。これまで驚異的なペースで得点を重ねており、「ゴールに近づくほどにプレー精度が上がっているのではないか」なんてことがまことしやかに囁かれていたりもするのですから相当なものです。これまでトップチームでは43試合に出場し13ゴール。アシストやPKの奪取も含めれば、ゴールへの関与数はさらに多くなるでしょう。実は178cmとそこそこ身長も大きく、トップチームでの初ゴールはヘディングで決めたものでした。

 

そして最後がドリブル。タッチライン際に開いての仕掛けから、カットインもあり縦突破からのクロスもあり。まるで障害物を軽やかに避けていくアメンボのように、滑るように相手DFの間をすり抜けていきます。彼はネイマールのように華麗なフェイントを連発するわけでもなく、クリスティアーノ・ロナウドのようにシザースを繰り返して相手のタイミングを外すわけでもありません。ですが対面したDFたちはやすやすと彼に翻弄され、抜き去られてしまうのです。

 

 

まだまだ続く軌跡

このように、これまでの彼の道のりは非常に素晴らしいものでした。まさにトントン拍子、順風満帆な船出だったと言えるでしょう。ですが11月8日、ベティスとの試合で後ろからのスライディングタックルを受けた彼は大きな怪我を負ってしまいました。診断結果は左膝の半月板損傷。離脱期間は4ヶ月ほどです。

 

この件で不可解だったのは、彼が30分にタックルを受けてから前半終了までプレーを続けていたことです。アラウホにも同じようなことがありましたが、このクラブのメディカルスタッフは何をやっているのか。試合中の選手はアドレナリンが出ているため、ある程度の痛みなら気にならないこともあります。特に若い選手の場合は「やれるか?」と聞かれたら「まだやれる」というに決まっているのですから、その逸る気持ちを抑えるのが大人の役割のはずです。

 

アンスはまだとても若い選手です。今から15年の月日が流れたとしても彼は33歳。現在のメッシと同じ年齢です。いま彼が、そしてクラブがやるべきことは一刻も早い復帰ではありません。この負傷が今後のキャリアに悪い影響を及ぼさないように、細心の注意を払って、完璧に傷を治すこと。それだけです。

 

幸い、アンスは素早く手術に踏み切りました。名医Ramon Cugat 氏によって行われた手術は無事に成功し、現在はリハビリへと向かっているようです。クレとしては彼のプレーをしばらく見られないのは残念ですが、いまはそれよりも身体を万全の状態にすることが第一です。いずれまた元気な、そしてよりパワーアップした姿を見せてくれることを気長に待つことにしましょう!

 

 

 

 

 

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。